Lue et aLの薬理研究:2002年
1・EGb761のアミロイドβ蛋白凝集作用メカニズム アルツハイマー病は、不溶性のアミロイドβ蛋白(Aβ)が神経細胞にプラークを形成することによって起きるとされています。Aβの形成は神経細胞の酸化ストレスや老化などと因果関係があり、その毒性によりカスパーゼ系酵素が活性化されて神経細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)が引き起こされます。特にAβはアルツハマー病患者の脳神経細胞萎縮の最も重要な原因になっています。 このAβはアミロイド前駆タンパク(APP)より産生されます。可溶性のAβが凝集して、脳の中で不溶性構造体になり、これが不溶性アミロイドβ蛋白です。 下記はEGb761のAβ凝集抑制作用の研究結果(Lue et alの薬理研究:2002年) ウエスタンブロット法による蛋白分析では、24時間のインキュベーションによりAβの凝集がわずかに認められ、8日間では明らかな凝集塊が見られています。予めEGb761を添加しておくと、それらの凝集が阻害されているのがわかります。その結果が上の図にまとめられていますが、EGb761はAβmp凝集を明らかに抑制していることが示されています。 2・神経細胞死の抑制作用(カスパーゼ-3阻害作用) アミロイドβ蛋白(Aβ)よりカスパーゼ系のカスケード(プログラム細胞死)が活性化し、それは最終的にDNAの分解を引き起こします。この活性化をEGb761は直接阻害します。 下図は、培養細胞のEGb761の神経毒性防御作用を示したものです。 Lue et aLはEGb761の神経細胞保護作用について以下のように結論づけました。 -------------------------------------------------------------------- ・神経保護作用がある薬剤である ・血液の流動性を改善し、それによって細胞への酸素および栄養素の供給を亢める ・ミトコンドリアの保護作用をしめす ・神経伝達物質の量を高く維持する ・Aβ凝集を抑制し、また神経細胞死を抑制する(Aβプラーク形成の過程を阻害し、さらにカスパーゼ系酵素を直接阻害する -------------------------------------------------------------------- 以上のような基礎研究によりEGb761はアルツハイマー病などの認知症を引き起こすリスクファクターに拮抗し、その病態形成に到る主要な過程を抑制して認知症を治療できることが明らかにされました。
by 30211955
| 2007-11-04 12:31
| 神経細胞死への防御作用
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